顧客情報や商品管理するためのシステムを構築したり、WordPressやMovable typeを始めとするCMS(コンテンツ管理システム)を利用したりする場合、データベースは欠かすことのできない存在です。
一方で、いざ作成した独自コンテンツをインターネット上に公開しようと思ったとき、「レンタルサーバーによって対応しているデータベースが異なる」、「MySQLには対応しているけどPostgreSQLに対応していない」という問題に遭遇することも少なくありません。
この記事では、データベースのひとつである「PostgreSQL」について焦点を当て、その機能と特徴、対応しているレンタルサーバーについて詳しく解説します。
PostgreSQLの機能と4つの特徴
PostgreSQLは、「ポスグレ」や「ポストグレス」などと呼ばれる、オープンソースのリレーショナルデータベースです。
リレーショナルデータベースとは、データを表形式で扱い、複数の表を関係付けたデータモデルのことをいいます。
ひとつの表は行と列から構成されており、以下のような表計算ソフト(Excelなど)で作成されたものをイメージしてもらうとわかりやすいと思います。
No | 顧客名 | 〒郵便番号 | 住所 | 担当者 |
1 | みかん株式会社 | 111-108 | 東京都渋谷区○○町1-1-1 | 藤井悟 |
2 | りんご電子 | 222-265 | 神奈川県横浜市2-2-2 | 山里敬二 |
3 | 株式会社ぶどう | 333-564 | 宮城県仙台市1-1-1 | 豊田公成 |
また、PostgreSQLには以下の4つの特徴があります。
マルチプラットフォームに対応している
PostgreSQLは、Linux・Solaris・FreeBSD・AIX・macOSといったUnix系のほか、Windowsでも使用することができます。
ソースコードのほかに、RPMやAPTと呼ばれる形式で配布されていますが、レンタルサーバーではコントロールパネルから視覚的にインストール・操作できることが多いです。
以下の画像はレンタルサーバー「KAGOYA」のデータベース管理画面です。
引用:オプション:PostgreSQL - KAGOYA JAPAN
多数のプログラミング言語をサポート
メジャーなC言語・C++言語以外にも、Perl、Java、Ruby、Pythonなど複数のプログラミング言語からデータベースにアクセスすることができるため、幅広い開発環境でPostgreSQLを利用することができます。
セーブポイントでエラーから復帰できる
トランザクション内に永続的にセーブポイントを設定することができるため、何らかの障害が発生した時やデータ更新時のトラブルでもロールバックすることができます。
ホットバックアップに対応している
ホットバックアップとはデータベースを止めずにおこなうバックアップのことです。
PostgreSQLでは専用ツールを使用し、データベース単位・テーブル単位のホットバックアップに対応しています。
PostgreSQLとMySQLはほとんど違いがない
リレーショナルデータベースにはPostgreSQLのほかに有名な「MySQL」があります。
日本国内で運営しているレンタルサーバーの多くはMySQLを採用しており、実質的なスタンダードといえる状況ですが、両者の機能面での違いはほぼありません。
どちらもフリーのオープンソースソフトウェアとしては、商用の製品に匹敵する機能を持ちます。
機能面で同等なのにMySQLの方が普及している理由は2つあります。
ひとつは、MySQLABという企業が、過去にMySQLを利用する顧客へのサポートをおこなっていたためです。当時PostgreSQLでは企業によるサポートはありませんでした。
もうひとつはPostgreSQLにはなかった、Windows向けのワンクリックインストーラーがあったことです。PostgreSQLは長い間Unix系ユーザー向けに提供されていました。
過去の経緯からMySQLの方が人気なものの、現在ではどちらも差がないと考えてよいでしょう。
現在はPostgreSQLも様々なベンダーがサポートしており、Windows向けのインストーラーもあります
PostgreSQLを利用できるレンタルサーバーの種類
現状国内でPostgreSQLを提供しているレンタルサーバーは少数派ながらいくつか存在します。まず、PostgreSQLを利用できるレンタルサーバーの種類をおさえておきましょう。
共用サーバー
共用サーバーとは、1台のサーバーを複数の契約者で共有する形態のことです。
料金が安いのがメリットですが、複数人で共用しているため、他の利用者がサーバーに負荷をかけたときに巻き沿いをくらう可能性があるという点はデメリットです。
例えばバリューサーバーでは、月々167円といった格安プランからPostgreSQLを利用できます。
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専用サーバー
1台のサーバーを企業や個人で独占して利用できるのが専用サーバーです。
サーバーのリソースを1契約者がすべて専有できる点がメリットですが、共用サーバーより運用コストがかかります。
例えば、KAGOYAの共用サーバーは月々1,600円から利用することができますが、一方で専用サーバーはもっとも性能が低いサーバーでも月々2,700円からと高価です。
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VPS・クラウドサーバー
1台のサーバーを複数の契約者で共有する点は共用サーバーと似ていますが、VPS・クラウドサーバーでは、契約者専用に用意された仮想OSを各種設定まで含めて自由に利用することができます。
共有サーバーに比べて他ユーザーの影響を受けにくいのがメリットなほか、MySQLでもPostgreSQLでも制約なく自由にインストールすることができます。
現在PostgreSQLを勉強中でいろいろ試してみたいという人は、低コストで自由に運用できるVPSをレンタルするのがおすすめです。
料金は、例えばさくらのVPSなら月々582円から利用することができます。
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PostgreSQL対応の定番レンタルサーバー
PostgreSQLに対応した定番のレンタルサーバーをいくつか紹介します。
KAGOYA
豊富なビジネス向けプランが用意されており、個人よりビジネスユーザーにおすすめしたいレンタルサーバーが「KAGOYA」です。
共用サーバーはS21で月々1,600円からPostgreSQLを利用することができます。また、S11プランであっても1GBのデータベースを月々700円でオプションとして追加できます。
CPIレンタルサーバー
データベース、ディスク容量、マルチドメインが無制限、その他自動バックアップや品質保証制度も標準対応するなど、ビジネスに特化したレンタルサーバーが「CPI」です。
個人で利用するには高額ですが、データベース容量をはじめとする様々なリソースが無制限で利用できるのはメリットです。
バリューサーバー
バリューサーバーは月々167円から利用できる格安レンタルサーバーです。
レンタルサーバーのなかでも激安といって差し支えない価格のため、とにかく安く使いたいという人におすすめです。
ただし、マニュアルがわかりづらい、電話対応がないなどサポート面ではいまひとつなため、どちらかといえば中・上級者向けです。
さくらのVPS
「さくらのレンタルサーバー」で人気のさくらインターネット社が提供するVPSが「さくらのVPS」です。月々582円から利用できるのが魅力で、2週間のお試し期間も設けられています。
さくらのVPSではPostgreSQLは提供していないため、「日本PostgreSQLユーザ会」からダウンロードしてください。
自分でインストールするため、勉強目的の利用手段としてもおすすめです。
ConoHa VPS
VPSの中でも価格が安いため、勉強用途やWeb開発などに人気があります。
OSレベルで環境を自由に選択できるため、独自アプリケーションを運用するなど自分好みのサービスを構築することができます。
直観的で操作しやすいコントロールパネルに加え、3ステップ(最短25秒)でサーバーを構築できるなど、VPSを初めて利用するユーザーにおすすめです。
PostgreSQLを使いたい場合はサーバーに注意しましょう!
最後にもう一度PostgreSQLについてまとめます。
- データモデルはリレーショナルデータベース
- MySQLとの機能に差はない
- PostgreSQLを扱うレンタルサーバーは少ない
PostgreSQLを使いたい場合は、正しいレンタルサーバーを選ぶように十分注意しましょう。