EC-CUBEはEC(電子商取引)を行うためのショッピングカートプログラムであり、ネット通販サイトを作成するために用いられる定番のツールです。
EC-CUBE自体はオープンソースとして公開されているため誰でも無料で利用することができますが、環境を構築して世界へ公開するには、有償のレンタルサーバーを利用することが近道です。
この記事では、そんなEC-CUBEを利用するのに適したレンタルサーバーについて解説したいと思います。
2024年12月版 EC-CUBE対応のおすすめレンタルサーバー比較
EC-CUBEに正式対応している人気のレンタルサーバーを一覧表にまとめました。
サーバーの構成・料金はプランによって異なりますが、この一覧表では一番グレードの低いプランを比較対象として掲載しています。
サービス名 | 初期費用 (+税) | 月額料金 (+税) | 無料期間 | ディスク容量 | 1日の転送量 | マルチサイト |
---|---|---|---|---|---|---|
0円 | 3,800円 ~ | 10日間 | 300GB | 無制限(9999) | 10個 | |
エックスサーバービジネス | 15,000円 | 3,420円 ~ | 10日間 | 200GB ~ | 無制限(9999) | 無制限(9999) |
ロリポップ! | 1,500円 | 100円 ~ | 10日間 | 10GB ~ | 40GB ~ | 20個 ~ |
EC-CUBEを利用するときにチェックしたいポイント
EC-CUBEを利用する場合、複数の人が一つのサーバーをシェアする共用タイプのレンタルサーバーを選ぶとコストパフォーマンスと手軽さを両立することができます。
一人で1台のサーバーを専有することができる「マネージド専用サーバー」や「VPS(仮想専用サーバー)」でもEC-CUBEを利用することはできますが、イントールや設定といった面で多少の専門知識と作業時間が必要です。
一方共用サーバーであれば、インストールマニュアルも豊富ですし、EC-CUBEのオフィシャルパートナーとして登録されているものもあります。
そのほか、借りる前に以下のような点をチェックすると、運用面のトラブルを未然に回避することができます。
PostgreSQLが利用できる
EC-CUBEは商品データなどを保存するため「MySQL」や「PostgreSQL」というデータベースソフトを使います。
どちらのデータベースソフトでもEC-CUBEは動作しますが、MySQLは相性問題があり、ちょっとしたカスタマイズをしたときに思ったとおり動作しないなど、思いもよらぬ苦労をする場合があります。
また、MySQLでは商品の点数が増えていった場合に表示速度が遅くなりやすいという問題も知られています。
一般的に表示速度が遅いとお客さんの離脱率が増えると言われており、売上の低下につながる可能性があります。あまり商品点数を増やす予定がないというのであれば別ですが、出来るかぎりPostgreSQLに対応したレンタルサーバーを選んでおいたほうが無難です。
SSLに対応している
ショッピングサイトを運営するとお客さんの氏名や住所、電話番号などの個人情報を扱うことになります。
これらの情報をインターネットを介して安全にやり取りするには、SSLと呼ばれる通信データを暗号化する仕組みが必要不可欠です。近年は個人情報の漏えいに対して敏感な人が増えているため、SSLに対応していないという理由だけで購入を見送るということも少なくありません。
また、SSLに対応したサイトはURLの先頭が「http」から「https」に変わります。視覚的にも情報漏えいに対して対策していることをアピールすることができるため、お客さんの離脱を阻止することができます。
SSLには「共有SSL」と「専用(独自)SSL」の2タイプがあります。
メモ
Google Chromeなど一部のブラウザでは、SSLに対応していないサイトを閲覧した場合「保護されていない通信」などのメッセージで警告するようになっています。最近ではショッピングサイトに関わらずありとあらゆるサイトでSSLに対応していることが求められているため、必ずSSLに対応したレンタルサーバーを選ぶようにしましょう。
共用SSL
共用SSLは、レンタルサーバー会社が提供している複数の契約者が共同利用するSSLサービスです。
ほとんどのレンタルサーバーで無料で利用することができますが、SSL化したページのURLが特定の文字列に固定されるというデメリットがあります。
たとえば、エックスサーバーでは共用SSLを使ったページが以下のURLになります。
https://ドメイン名.ssl-xserver.jp/
ドメイン名以降の文字列が固定されてしまうため、人によってはアドレスが変わったことに違和感を感じてしまうかもしれません。
専用(独自)SSL
専用(独自)SSLは、自分が取得したドメインをそのままSSL化したページに使うことのできるサービスです。
共用SSLと異なり、URLは自分自身で決めたアドレスを使うことができます。
https://ドメイン名.〇〇○/
専用(独自)SSLはレンタルサーバーによって有償の場合があります。また、レンタルサーバーによってはそもそも専用(独自)SSLを提供していない場合もあります。
最近は専用(独自)SSLを無料で提供しているレンタルサーバーも増えているため、積極的に利用したほうが良いでしょう。
ビジネス向け・商用利用を公式にアピールしている
レンタルサーバーと一言でいっても月100円以下で利用できるものもあれば月1万円以上かかるものまでさまざまです。
一般的にレンタルサーバーは料金が安ければ安いほど通信容量とサーバーの安定性を犠牲にしている傾向があり、アクセス数・来客数が増えるとサイト全体が重くなったり、画像がかけたり、最悪の場合エラーになってまったく使えなくなってしまうこともあります。
通信容量と安定性はサーバーのスペックや評判を調べることである程度推測することもできますが、何個もサーバーを比較しながら候補を絞り込むのは大変なので、筆者としては「ビジネス向け・商用利用」を公式にアピールしているレンタルサーバーを選ぶことをおすすめします。
これらのレンタルサーバーは、通信回線を強化していたり、比較的性能が高いサーバーを使用していたりするため、他の個人向けレンタルサーバーより、安定したショッピングサイトを運営することができます。
レンタルサーバーでトラブルが起きると、本来購入してくれていたお客さんをみすみす逃すことにもつながるため、ぜひ注意したいポイントです。
自動インストールに対応していればEC-CUBEを簡単に使える
EC-CUBEはオープンソース版であれば誰でも無料でダウンロードすることができるので、自分でイチから環境を作ることもできます。
しかし、一方で動作環境や推奨環境をきっちり調査したり、複雑なコマンドを組み合わせて環境をインストールしたりするのが苦手という人は、なかなか取っ付きにくいのも事実です。
そんなときは、自動インストールやワンクリックインストールといった機能に対応したレンタルサーバーを選択すると誰でも簡単にEC-CUBE環境を作ることができます。
たとえば、コストパフォーマンスに優れたさくらのレンタルサーバーやサーバー性能と安定性に定評があるエックスサーバーなどが自動インストールに対応しているため、サーバーを比較する際に念頭に置いておくと良いでしょう。
EC-CUBEに対応したおすすめレンタルサーバーを比較!
これまでに解説したポイントを踏まえ、筆者がおすすめするレンタルサーバーは次のとおりです。いずれのサーバーもEC-CUBEのオフィシャルパートナーに認定されており、設定画面から自動インストール機能を利用してEC-CUBEを設置することができます。
特にCPIレンタルサーバーは大小さまざまなショッピングサイトに向いており、個人・法人を問わずおすすめしたい1台です。
CPIレンタルサーバー
プラン詳細 | シェアードプラン SV-Basic | |
---|---|---|
費用 | ||
初期費用 (+税) | 0円 ※12ヶ月契約以外は 20,000円 | |
月額料金 (+税) | 3,800円 ~ | |
無料お試し期間 | 10日間 | |
機能・性能 | ||
ディスク容量 | HDD | ウェブ100GB / メール200GB (1ドメイン) |
1ヶ月の転送量 | 無制限 | |
データベース | MySQL | 5個 |
マルチドメイン | 10個 |
「CPIレンタルサーバー」は、株式会社KDDIウェブコミュニケーションズが運営するビジネスユーザー向けのレンタルサーバーです。
月額料金は3,800円と高額ですが、ビジネス向けということもありディスク容量・データ転送量など十分に確保されています。
EC-CUBEの自動インストールに対応しているほか操作マニュアルも充実しているため、ショッピングサイトをしっかり運営したい方にまずおすすめしたいサービスといえます。
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CPIレンタルサーバー
おすすめ度 80% CPIレンタルサーバーは、株式会社KDDIウェブコミュニケーションズが運営しているレンタルサーバーサービスで、自動バックアップ標準搭載、テストサーバー、品質保証制度(SLA)ありと ...
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エックスサーバービジネス
プラン詳細 | 共有サーバー | 専用サーバー | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
B10 | B20 | B30 | マネージド専用 エントリー | マネージド専用 ハイエンド |
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費用 | ||||||
初期費用 (+税) | 15,000円 | 100,000円 | 200,000円 | |||
月額料金 (+税) | 3,420円 | 6,840円 | 10,260円 | 27,000円 | 72,000円 | |
無料お試し期間 | 10日間 | |||||
機能・性能 | ||||||
ディスク容量 | SSD | 200GB | 300GB | 400GB | 500GB | 1TB |
1ヶ月の転送量 | 無制限 | |||||
データベース | MySQL | 無制限 | ||||
マルチドメイン | 無制限 |
高速・多機能・高安定性の3つの特徴を備えており、ブログなどを始めとする個人向けのサイトで人気のエックスサーバーを法人向けにカスタマイズしたものがエックスサーバービジネスです。
月額料金は3,420円ですが、データ転送量、マルチドメイン、データーベースが無制限と、複数のサイトを同時に運営するようなケースに向いています。また、独自(専用)SSLが無料で利用できるので、最小コストでショッピングカートを実現することが駅できます。
一方で、PostgreSQLに対応していないため、あまり商品点数が多い場合は向きません。普通のホームページを運営しつつ、小規模なショッピングサイトも同時に運営したいというような場合におすすめです。
ロリポップ!
プラン詳細 | エコノミー | ライト | スタンダード | エンタープライズ | |
---|---|---|---|---|---|
費用 | |||||
初期費用 (+税) | 1,500円 | 3,000円 | |||
月額料金 (+税) | 100円 ~ | 250円 ~ | 500円 ~ | 2,000円 ~ | |
無料お試し期間 | 10日間 | ||||
機能・性能 | |||||
ディスク容量 | 10GB | 50GB | 120GB | 400GB | |
1日の転送量 | 40GB | 60GB | 100GB | 無制限 | |
データベース | MySQL | × | 1個 | 30個 | 100個 |
マルチドメイン | 20個 | 50個 | 100個 | 無制限 |
ロリポップ!はGMOペパボ株式会社が運営しているコストパフォーマンスに優れたレンタルサーバーです。
エコノミープランはデータベースが提供されないためEC-CUBEは使用できませんが、ライトプラン以上であれば月額250円からEC-CUBEを利用できます。
最近では、SSDを採用したビジネス向けのハイスピードプランも登場しており、個人利用から法人利用まで選択の幅が広がっています。
一方で、ロリポップ!ではPostgreSQLに対応していないため、商品点数が多いような場合は不向きです。本格的なビジネス利用というよりは、はじめてショッピングサイトを作るような初心者の方やちょっとEC-CUBEを試してみたいという方におすすめです。
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ロリポップ!
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