中小企業や店舗など、クライアントからWebサイトの構築を受注したり、保守・運用を任されたりするような仕事をしている場合、再販可能なレンタルサーバーが欠かせません。
レンタルサーバーの再販は広く知られている使い方の一つですが、契約しているサーバーが再販できるかどうかはケースバイケースで異なるため、事前によく確認しておく必要があります。
この記事では、そんな「再販ビジネス」について定義や注意点を解説します。また、再販を許可している国内のレンタルサーバーを3社ほど紹介するので、これから再販ビジネスに取り組もうと思っている方はぜひチェックしてみてください。
レンタルサーバーの再販とはすなわち又貸し
レンタルサーバーにおける再販とは、有償・無償問わず契約者以外の第三者にサーバー領域の一部を貸し出す行為、つまり「又貸し」のことです。
有償・無償と書きましたが、再販している人の割合としては家族や友達に無償で貸し出すというよりも、ビジネスとして検討している人がほとんどです。
これは、例えばクライアントのWebサイトの作成を代行し利益を得るケースなどが含まれます。Webサイト作成後に運用・保守まで代行すれば定期的に利益を得ることができるため、サーバーの契約までセットで業務を委託するというものです。
レンタルサーバー再販は利用規約に注意すること!
現在日本国内には無数のレンタルサーバーサービスがありますが、ビジネス向けをうたうサービスの中には条件付きで再販を許可しているものがあります。
そのレンタルサーバーが再販可能かどうかを知るためには、各レンタルサーバーの利用規約を確認することが確実です。
例えば個人・法人を問わず高い人気を誇るエックスサーバーの再販条件は次のようになっていました。
エックスサーバーの再販規約は条件付き
当サービスでは、有償・無償を問わず、ご契約名義以外の第三者に、サーバーリソースの一部を貸与する行為を「再販」と定義し、原則として禁止しています。
ただし、下記の条件を全て満たす場合にのみ再販を行うことが可能です。引用:再販についてより - エックスサーバー
このようにエックスサーバーでは原則的に契約者以外の第三者への再販は禁止されています。しかし、以下の条件に当てはまる場合は再販ができる条件付きの利用規約となっています。
- 当サービスの契約者と再販先とは、直接連絡が可能な状態であること
- 不特定の相手を再販先としないこと
- 再販先は、一法人または一個人、または家族やサークルなどの特定の一団体をそれぞれ1ユーザーとし、計5ユーザーまでとすること
- 契約者は、再販先に対して、禁止事項など当サービスにおける利用規約を説明し、遵守させること
- 再販先へのサービス上のサポートは、契約者自身が行うこと
- サーバーに多大な負荷をかけないこと
引用:再販に関する必要条件より - エックスサーバー
利用規約をまとめると、素性のわからない者や不特定多数への再販する行為は禁止されているということがわかります。
また、利用規約にもある通り、再販先でサーバーに大きな負荷がかかる使い方は禁止されています。大量のアクセスが発生する可能性のあるECサイトや独自のSNSサービスなど、サーバーを共有している他の人に迷惑をかけるような使い方はできません。
この利用規約からは、エックスサーバーの契約者自身が、再販先の管理・サポートまで含めてをしっかり対応することが読み解けます。
再販に条件が設けられていないケースも多い
エックスサーバーでは、再販に関する条件が明確に定められていますが、それ以外のサーバーでは条件が設けられていないケースがほとんどです。
しかし、利用規約に条件が書かれていないからといって、なんでもできるというわけではありません。
無用なトラブルを避けるため、再販に関して不明確なことがある場合は、まずお使いのレンタルサーバーに問い合わせることをおすすめします。
電気通信事業者の届け出はケース・バイ・ケース
レンタルサーバーの再販に「電気事業者の届け出」が必要なのか気になる人もいると思います。また、そもそも電気通信事業者の届け出とは何?という人もいるのではないでしょうか?
再販ビジネスをおこなう上で大切なことなので、簡単に解説します。
電気通信事業者の届け出は2つの基準で判断する
電気通信役務に該当するWebサービスを運営している場合に、総務省に申請する書類が「電気通信事業の届け出」です。
この電気通信役務に当てはまるかどうかの判断基準は以下の2つです。
- 他人の通信を媒介するか
- 電気通信設備を他人の通信用に供するか
この基準から考えるとレンタルサーバーの再販はすべて電気通信役務に当てはまりそうですが、再販をおこなう際に必ず届け出が必要なわけではありません。
レンタルサーバーの利用方法に応じて、届け出の有無を判断する必要があります。
わからない場合は総務省に問い合わせましょう
例えば、GMOクラウドiCLUSTA+のようにレンタルサーバー会社によっては、電気通信事業者の届け出をアナウンスしている場合もあります。
弊社のサービス(ホスティングサービス)を再販いただく場合、再販パートナーさまは電気通信事業者となりますので、総務省に対して電気通信事業者の届出(電気通信事業法第16条)を行う必要があります。詳細につきましては、総務省のホームページをご確認ください。
引用:電気通信事業者届出について - GMO CLOUDパートナー制度
電気通信事業の届け出の有無については、「総務省」に問い合わせるのが確実です。
初めてレンタルサーバーを再販する場合は、一度総務省に問い合わせてみましょう。
再販可能な国内レンタルサーバーのリストとおすすめ3選!
再販可能な国内レンタルサーバーをまとめました。公式サイトに再販の条件が明記されている場合は「あり」としています。
レンタルサーバー | 条件 |
---|---|
mishost | - |
クイッカ | あり |
エックスサーバー | あり |
KAGOYA | - |
CPIレンタルサーバー | - |
さくらのレンタルサーバー | - |
ロリポップ! | - |
バリューサーバー | - |
GMOクラウドiCLUSTA+ | - |
クイッカでは基本的に再販は許可されていませんが、クイッカの提供元である株式会社エムフロと別途契約を結んだ場合は再販が許可されます。
エックスサーバーの再販条件は先に説明した通りです。
ビジネスユーザーにおすすめ!再販可能なレンタルサーバー3選
再販可能なレンタルサーバーの中から特にビジネスユーザーにおすすめしたい会社を3つ紹介します。
mixhost
mixhostは2016年にスタートしたばかりの新しいレンタルサーバーです。
しかし、高速なWebサーバーソフトウェアの「LiteSpeed」を導入したり、日本で初めてHTTP/2・QUICに対応するなど、先進性で他のサーバーの一歩先を行きます。
すべてのプランでマルチドメインに対応しているため、複数サイトの管理が可能なほか、14日間のバックアップを標準装備しており、ビジネスユーザーにも適したレンタルサーバーといえます。
エックスサーバー
現在、レンタルサーバーの中で最も人気があるのがエックスサーバーです。
エックスサーバーの人気の理由は、大量のアクセスが発生しても高速環境を維持できる「安定性」にあります。サーバーの稼働率は「99.9%以上」となっており国内最高レベルを誇ります。
その他、マルチドメイン、無料の独自SSLにも対応するなど、使いやすいレンタルサーバーの条件が整っています。
CPIレンタルサーバー
法人利用率90%、20年を超える運用実績を持つのがCPIレンタルサーバーです。
大手インフラ企業の株式会社KDDIウェブコミュニケーションズが運用しており、コンセプトは「ウェブ集客・運用の悩みを解決するレンタルサーバー」です。
マルチドメイン、データベースをはじめてとする各種サーバーリソースをすべて無制限に利用できることが特徴で、複数サイトの作成・再販に最適です。
また、SLA(品質保証制度)を導入しており、月間サーバー稼働率が100%未満の場合サーバー費用を返金する制度もあります。
このあたりもビジネスでの利用を考えているユーザーにとってうれしいポイントといえます。
この記事のポイントをまとめます
レンタルサーバーを再販するときは、まずは「利用規約」を読み再販の条件を確認することが大切です。そして「電気通信事業者の届け出」が必要か確認することも忘れずに行いましょう。
再販可能なレンタルサーバーでも、好き勝手に使えるわけではないので、レンタルサーバー各社の規約をしっかり読むことが大切です。
再販制度を上手に活用して、ビジネスを加速させましょう!