IP分散とはいわゆるSEO対策(検索エンジン最適化)のひとつです。普通にサイトを運営している分にはあまり聞き慣れない用語ですが、アフィリエイトサイトやSEO業者などは被リンク対策のひとつとしてIP分散を実践しているケースもあり、IP分散サーバーという専用のレンタルサーバーも存在します。
この記事では、IP分散の目的やSEOにどのような効果があるか、またIP分散サーバーの特徴について解説します。
IP分散で被リンク元のIPアドレスをバラバラにする
IP分散とは「被リンク元サイトのIPアドレスをバラバラにする」ことです。
Googleなどの検索エンジンで自分が管理・運営しているサイトを検索結果の上位に表示したい場合、他のサイトやページからの被リンクを獲得することが有効です。
普通にサイトを運営していると、自分が書いた記事を他の人が引用してくれたりして、知らず知らずのうちに被リンクを獲得する事ができますが、アフィリエイトや物販など引用・参照が期待出来ないサイトでは、サテライトサイトと呼ばれる補助サイトを作り、自作自演のリンクを使って被リンクを獲得しなければなりません。
サテライトサイトは、無料ブログサービスやマルチドメインに対応したレンタルサーバーを使って作る事ができますが、これらのサービスは通常1つのIPアドレスに複数のドメインを紐付けて管理しているため、同じサービス上で複数のサテライトサイトを作るとIPアドレスが偏ることがあります。
IPアドレスが偏るとGoogleから不自然なリンクと判断されて、ペナルティを課される危険性があるため、IPアドレスがバラバラに分散するように対策しなければなりません。
IPアドレスとは?
IPアドレスとはネットワークにつながる機器に割り当てられる識別子のことです。IPアドレスは「10.2.3.40」といった3桁の数字4つを"."で区切った形で表現されており、ネットワーク上でデータをやり取りするには、このIPアドレスを宛先(住所)として使用します。
IP分散は、サイトを設置するサーバーに割り当てられているIPアドレスをバラバラにすることを指しています。
クラスC IP分散
IPアドレスは桁数に応じてクラス分けがされており、「10.2.3.40」では10の部分をクラスA、2の部分をクラスB、3の部分をクラスC、40の部分をクラスDと呼んでいます。
この内、クラスCに当たる3より上位の桁がバラバラな状態をクラスC IP分散と呼びます。
現在、GoogleはクラスCより大きいIPアドレスが異なるサイトからの被リンクを高く評価する傾向にあります。
また、逆にクラスC以下のIPアドレスが一致した複数のサイトから被リンクを受けている場合、同じサーバー内に設置されたサイトからの自作自演のリンクとみなされ、先にも述べた通りペナルティを課される危険性があります。
DNSサーバー分散
IP分散で意外と見落とされがちなのが、DNS(ドメイン・ネーム・システム)サーバーの分散です。
IPアドレスを分散しても同じDNSサーバーを使っている場合、リンクの不自然さは解消出来ていませんので、Googleから自作自演のリンクとみなされる可能性が高くなります。
IP分散はSEO効果に有効
Googleの検索アルゴリズムは自作自演による不自然なリンクを嫌う傾向にあります。これはGoogleの「ユーザーにとって有益なものを上位表示する」という理念に基づいたものです。
Googleの検索エンジンはリンク元のIPアドレスを判別していると言われており、同じIPアドレスから集中的にリンクが貼られた状況は、簡単に自作自演の不自然なリンクと見抜かれてしまいます。
IPを分散することで自作自演を見抜かれにくくすることが出来るため、複数のサテライトサイトを使って被リンクを獲得している人には、IP分散は有用なSEO対策となります。
ただし、IP分散で検索結果が上がるというわけではなく、あくまでも被リンク対策に対するペナルティリスクを下げる目的で使うものなので、マイナスをゼロに戻すための施策と思っておいた方が良いでしょう。
サテライトサイト向けおすすめレンタルサーバー
被リンク元サイトのIPアドレスを完全に分散するには、クラスC以上に対応したIP分散サーバーを利用することが不可欠です。
というのも、通常のレンタルサーバーでは、マルチドメインに対応していてもIPアドレスが分散された状態が保証されていないため、サイトを作るたびに複数社からバラバラにレンタルサーバーを借りる必要があるためです。
IP分散サーバーでは、ドメイン単位でIP分散を保証しているため1つの契約で複数のサテライトサイトを一括管理できます。また、DNS分散オプションに対応しているレンタルサーバーもあり、自分でIP分散を考慮せずサテライトサイトの構築に注力出来るようになります。
ここでは国内でサービスを展開しており、一定の評価があるIP分散サーバーをいくつかご紹介したいと思います。
IQサーバー
初期費用 (+税) | 月額料金 (+税) | 種類 | 無料お試し期間 |
0円 | 1,390円 ~ | 共用サーバー | 10日間 |
ディスク容量 | 1日の転送量 | マルチサイト | データベース |
300MB | 5GB ~ | 1個 (1IPあたり) | 1個 (1IPあたり) |
IQサーバーはコストパフォーマンスと使い勝手のバランスに優れており、特にIP分散サーバーを初めて借りる人におすすめです。
IPアドレスも10個単位と小口で契約できるため、ビジネス・個人と用途を選ばず便利に使えます。
一方でディスク容量が少なかったり、通信速度が遅かったりと性能面は今ひとつふるわないので、サテライトサイトの規模には注意が必要です。
TICサーバー
初期費用 (+税) | 月額料金 (+税) | 種類 | 無料お試し期間 |
0円 | 1,000円 ~ | 共用サーバー | なし |
ディスク容量 | 1日の転送量 | マルチサイト | データベース |
200MB ~ | 無制限 | 1個 ~ (1IPあたり) | 1個 ~ (1IPあたり) |
TICサーバーは他のIP分散サーバーと比較して1IPあたりのコストパフォーマンスが良いため、とにかく安く・多くサテライトサイトを作りたいという人におすすめです。
IPアドレスも10個単位と小口で契約でき、1年契約では割り引きも効くようになります。
一方、サーバーがアメリカに設置されているため通信速度が遅いというデメリットもありますので、サイトの通信速度も重視するようであればCIPサーバーなど他のサーバーを選んだ方が良さそうです。
CIPサーバー
初期費用 (+税) | 月額料金 (+税) | 種類 | 無料お試し期間 |
2,778円 ~ | 1,390円 ~ | 共用サーバー | なし |
ディスク容量 | 1日の転送量 | マルチサイト | データベース |
1GB | 無制限 | 5個 (1IPあたり) | 5個 (1IPあたり) |
CIPサーバーは他のIP分散サーバーと比較して、通信速度に優れている点が魅力です。
TISサーバーとは姉妹関係にあるサービスですが、こちらはトラフィックの従量課金なしでスピードを売りにしています。
1IPで5つの独自ドメインを利用することができ、サブドメインは無制限です。
また、Movable TypeやWordPressの簡単インストールにも対応していますので、それなりにコンテンツ量を持ったサテライトサイトを運用したいという場合に特におすすめです。
ただし、海外IPは1IP150円と他と比べて若干割り高になるので、コストパフォーマンス最優先の場合はTICサーバーなどを検討してみるとよいでしょう。
被リンク対策の補助施策
IP分散はサテライトサイトを使った被リンク獲得に大きなメリットをもたらします。
しかしながら、自作自演で被リンクを獲得するSEO対策は、今現在効果があるというだけであって、Googleの方針転換や検索アルゴリズムの変更によって突然使えないものになるリスクも秘めています。
例えば過去にペンギン・アップデートと呼ばれるアルゴリズムの変更によって、検索エンジンの評価を上げるためだけに貼られた質の低いリンク集や相互リンクは軒並み排除されました。
優れたコンテンツを作成していれば、被リンクに頼らずとも検索結果の上位に表示されやすくなりますし、また引用されやすくなるため自然とリンクも集まります。
IP分散は補助的な対策と捉え、他者から評価されるようなコンテンツづくりに注力したほうが将来的にも有益です。