昨今、日本国内だけを見ても何十ものレンタルサーバーサービスが存在していますが、レンタルサーバーを借りる時にどのサービスを利用したら良いか迷ってしまった、あるいは、迷っているなんてことはないでしょうか?
最近では月額100円前後という激安サービスも登場しているため、適当に選んでも損することは少なくなってきていますが、それでもお金を払う以上はなるべく失敗せずに選びたいという方がほとんどだと思います。
この記事ではレンタルサーバーを借りるために何を基準にどのような順序で選んでいったら良いかを初心者の目線で解説したいと思います。
ステップ1.タイプを決める
まず、初心者の方はどのような目的でレンタルサーバーを借りるのか、どのように使うのかを明確にしましょう。そうすることで借りるべきレンタルサーバーのタイプをおおまかに絞り込むことが出来ます。
一般的なレンタルサーバーには、以下の3タイプがあります。
共用サーバー
1台のサーバーマシンと回線を複数の契約者でシェア(共有)するタイプのレンタルサーバーサービスです。1契約あたり月額100円~1000円程度と低コストで利用できるため、個人や小規模な会社のブログ・ホームページ、簡単なメールサービスの構築などの用途でよく使われています。
サーバーを複数人で共有する関係上、プログラミング環境を追加するなどサーバーの設定を好き勝手に変更することは出来ません。また、アクセス集中などにより過度の負荷をかけると一時的に通信を遮断されるなど、サーバーの利用に制限が発生する場合もあります。
以上の特徴から、共用サーバーは以下のような目的・使い方をする場合に向いています。
- アクセス数は小~中規模程度を想定している(月間100万PV、同時アクセス100人くらい)
- 個人やSOHO、中小企業などで、小規模なサイトを運営する予定である
- ウェブサイト・メールサービス以外の用途はあまり考えていない
- サーバーを共有する他のユーザーの影響で一時的にサーバーの応答速度が悪くなったとしても問題ない
- 運用コストをなるべく削減したい
専用サーバー
1台のサーバーマシンと回線を一人で占有するタイプのレンタルサーバーサービスです。1契約あたりの利用料金は安くても月額数千円程度で、より高性能なサーバーを借りた場合だと3~5万円程度になります。
1台のサーバーを一人で専有できるため、他のユーザーの影響でサーバーの応答速度が悪くなることはなく、またほとんどの場合、転送量の制限もありません。
中にはroot権限(管理者権限)が付いた専用サーバーもあり、使いたいOSやプログラミング環境などを決めて、サーバー環境を自由に作り上げることも出来ます。
専用サーバーは、利用料金も高価なことから個人で利用することはあまりなく、主にビジネス用途で利用されています。
- 会社内にサーバールームを設置する余裕がないため、サーバーの運用や管理も含めて外部に委託したい
- 大規模な通販サイトや、業務管理システムのフロントエンドなど、高いパフォーマンスと安定性が求められるサービスを構築したい
- ECサイトの作成代行など、ウェブサイトを第三者に再販するようなビジネスをしたい
- 大規模なアクセスが想定されるため、アクセスが集中した時のリスクを排除しておきたい
VPS・クラウドサーバー
VPSはバーチャル・プライベート・サーバーの略語です。
サービス内容は専用サーバーと似ていますが、VPSでは1台の物理的なサーバー上に仮想的なサーバーをいくつも立ち上げ、それぞれを契約者専用のサーバーとして割り当てます。
専用サーバーのように物理的なサーバーを借りるわけではないので利用料金が安くなり、また仮想的とはいえサーバー1台を丸ごと占有できるため、好きなOSをインストールしたりプログラミング環境を整えたりと、共用サーバーより自由に利用することが出来ます。
VPSは共用サーバーと専用サーバーの中間のような存在のため、なるべくコストを削減しながら専用サーバーと同じような使い勝手を得たい方におすすめです。
- 専用サーバーのように自由にOSやプログラミング環境を決めてサーバーを構築したい
- ウェブサイトの運営以外にも、サーバーで処理をさせたり、プログラミングしたり自由に使いたい
- サーバーを共有する他のユーザーの影響で一時的にサーバーの応答速度が悪くなったとしても問題ない
- 運用コストをなるべく削減したい
なお、クラウドサーバーはVPSを発展させたようなサービスで、複数台の物理サーバー連結・分解しながらサーバーを運用する場合に適しています。
これは例えば、月始めはアクセスが集中するのでサーバーの性能を一時的に強化しておき、それ以外の期間は性能を落としてコストダウンを図る、というような使い方をする場合にとても便利です。
ステップ2.求めるサービス内容を明確にする
レンタルサーバーのタイプが決まったら、次はサーバーに求めるサービス内容を明確にしましょう。
レンタルサーバーに求めるサービス内容はサーバーの利用目的に応じて様々ですが、初心者が意識したいものとして以下の要素があります。
- ディスク容量 : サーバーにどのくらいファイルを保存できるか?
- データ転送量 : 一日/一ヶ月のデータ通信量をどのくらい許容できるか?
- マルチドメイン数 : 独自ドメインをいくつまで使えるか?(何サイトまで運営できるか?)
- サブドメイン数 : サブドメインをいくつまで使えるか?
- データベース数 : データベースをいくつまで使えるか?(WordPress・Movable Typeを使えるか)
- サーバー稼働率 : 1年間のサーバー稼働時間をどれくらいまで保証しているか?
- メールアカウント数 : メールアカウントをいくつまで作ることができるか?
- FTPアカウント数 : 管理・ファイル転送に使うFTPアカウントをいくつまで作ることができるか?
- バックアップ対応 : 自動・手動バックアップに対応しているか?、好きな時にリストアできるか?
- プログラミング環境 : CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)をサポートしているか?、独自CGIを使えるか?
- サポート体制 : メールサポート、電話サポートに対応しているか?、サポート時間に制限はあるか?
これらの要素から自分にどこまでのサービスが必要かを見極め、レンタルサーバーの候補を絞っていきます。
例えば、アフィリエイトサイトを運営するためにとにかく沢山のサイトを作らなければならない場合、ディスク容量、マルチドメイン数、データベース数などが重要になってきます。
また、ビジネス用途で速やかにサポートを受けたい場合、サポート体制が充実しているかも大切なポイントになります。
ステップ3.予算を明確にして決める
最後にこれまで絞り込んだレンタルサーバーの中から予算にあったものを選びます。
基本的には予算の範囲内に収まるサービスの中から一番良いものを選択するだけですが、契約期間に応じて利用料金が変わるサービスや初期費用無料キャンペーンが頻繁にあるサービスもあるため、契約する前に一度選定候補の情報は一通り目を通しておいた方が良いでしょう。
おすすめのレンタルサーバー
これまで紹介した選び方をもとに、特に初心者の方から幅広い支持を集めているレンタルサーバーをいくつか紹介します。
共用サーバー
ロリポップ!
ロリポップ!は、月額100円から利用することが出来る安さが魅力のレンタルサーバーです。ディスク容量やデータ転送量に応じて4つのプランが用意されていますが、どのプランも一般的に格安と言われているレンタルサーバーを更に下回る料金で利用することができます。
サービス内容も極めて標準的で、特に初めてサーバーを借りてブログやホームページを作りたいという初心者の方におすすめです。
なお、一番安いエコノミープランはデータベースが付いていないため、WordPressを使いたい場合はライトプラン以上を利用するよう注意して下さい。
エックスサーバー
エックスサーバーは、月額1,000円(税込)からと中クラスの値段設定ですが、同価格帯のサービスではトップクラスのサーバー性能とバックボーンを備えています。
個人の用途では必要十分以上の機能を備えており、瞬間数千アクセス、月間100万PVを超えるようなブログやニュースサイト、アフィリエイトサイト、小規模~中規模までの商用サイトまで幅広くカバーできます。
個人で使うのであれば、エックスサーバーで大抵の場合は事足りるでしょう。
CPIサーバー
CPIサーバーは、ディスク容量無制限、データベース無制限、マルチドメイン無制限、メールアドレス無制限、その上、自動バックアップ標準搭載、テストサーバー、品質保証制度(SLA)ありと、本格的なビジネスサイトを構築するのに適したレンタルサーバーです。
月額3,800円は共有サーバーとしてかなり高額な部類に入り、サービスの内容からも個人ではなく法人をターゲットにしたサービスであることがわかります。
専用サーバーを借りる程ではないが仕事でサーバーを使いたい、というようなケースであればCPIサーバーを選んでおくと良いでしょう。
専用サーバー
KAGOYA
KAGOYAは専用サーバーの中ではスタンダードな立ち位置に当たります。
CPUやディスク容量、RAID構成の有無、SSDの有無などハードウェアリソースの違いで細分化された8種類のプランが用意されており、サービス内容と価格のバランスをとって、コストパフォーマンスを最適化することが出来ます。
一番安いプランは月額2,000円台とかなりリーズナブルですが、専用サーバーということで、基本的には法人向けのサービスと思った方が良いでしょう。
VPS・クラウドサーバー
さくらのVPS
さくらのVPSは月額数百円から利用できるためコストパフォーマンスに優れており、法人のみならず個人でも十分使えるサービス構成になっています。
また、サーバー契約者にはroot権限が与えられているため、例えばApachをインストールしてHTMLサーバーとして利用したり、Perl、Ruby、Python、Javaなどのプログラム環境を構築して勉強用に使ったりと、一般的なレンタルサーバーの制約にとらわれず自由にサーバーを活用することが出来ます。
さくらのクラウドはよりビジネスに向いたサービス構成になっており、初期費用ゼロで1時間単位で利用出来るなど、より柔軟にサーバーを運用することが出来ます。